2005年にGONETと(当時の)松ケ丘地区の青少年相談員の企画として「かぶと虫牧場」が開設され、5年、5回目になりました。毎年20人前後の子どもたちが参加してくれ、細々ですが大きな意義を持つ活動だと思っています。今年も(12月13日)後を継いでくれた青少年相談員の方々の協力により無事終了しました。
毎年この時期になると、公園や街のあちこちで落ち葉を掃く姿をみかけます。千葉駅前ロータリーなども沢山の植え込みがありますが、毎朝掃除をしている方々のボヤキを聞いていると、やはり落ち葉は邪魔者のようです。これらの落ち葉は、ほとんどがゴミとして捨てられるようです。都市計画に則り景観を整える為に植えられた市中の木々たちですが、多くは足元がコンクリートやアスファルトで固められてしまっています。春から夏にかけては豊かな緑で、秋になれば其々の色に染まって人々を癒してくれる木々たち。最近では、冬に備えて葉を落とし、しばしの休息と言いたい木々に、煌びやかなイルミネーションを無理やりに着せる光景も当たり前になってしまいました。
さて、この活動に大きな意義があると言ったのは、この「落ち葉」は「ごみ」という固定概念と、環境問題はまさに直結し、子ども達の未来にとって非常に重要だからです。先日、中学校で欅の落ち葉を掃き集めていた生徒に尋ねてみました。「この落ち葉はどうなると思う?」すると、「ごみじゃないんですか」と返ってきた。そう、子どもたちにとって掃き集めた落ち葉の行く末などはどうでもよいのが普通なのです。しかし、理科の授業で「光合成」といえば誰でも知っている植物の営みです。その結果生み出される酸素が、人間にとって不可欠であることも当然誰でも知っています。ここまでなら、大切なのは枝についている間の生きた葉であって、落ち葉ではない、と切り返されるでしょう。すると落ち葉はやはり邪魔者で、ごみなのでしょうか。いえいえ、ここで、かぶと虫や森の虫たち、微生物の出番なのです。
こういった森の生き物たちの生きるための食物はなんでしょうか。そう、それが落ち葉が地上(コンクリートではなく土の上)に落ち、土の上で朽ちた状態(腐葉土)なのです。かぶと虫の成虫は樹液を吸いながら夏を過ごし、交尾をし、やがて卵を産み一生を終えます。親は卵から孵化した幼虫たちが食べ物に不自由しないように、食物となる広葉樹が沢山ある森を探し、土の中に卵を産むのです。そして孵化した幼虫はせっせと腐葉土を食べて冬を越し、春が過ぎ、初夏の頃までに大きく丸々と太ります。やがて蛹(さなぎ)となり、夏が来ると脱皮して成虫となって飛び立っていくのです。驚くことに、成虫になっても生まれた場所は憶えていて、そこが次の子孫の生育に適した場所であれば、戻ってきてそこでまた産卵をするのです。
さて、ここで重要なことがあります。それは腐葉土をたっぷり食べた幼虫たちの糞です。これが混じった土は植物にとっては栄養価の高い格好の肥料となるのです。もうおわかりでしょう。虫の幼虫たちは木々の落ち葉が腐葉土になったものを食べて育ち、そのお返しとして木々たちには肥料を提供しているのです。この肥料によって木々は春になるとまた若い葉を茂らせ、光合成により夏にはたっぷりと酸素を供給して人間はもちろん、他の動物たちの命を育み、秋には虫たちの為に葉を散らせているのです。これが自然循環です。酸素がなければ生きていけない人間や動物にとって、まさに共存していかなければならない、感謝すべきいのちの営みなのです。
ところが、人間は己の都合だけで木々を切ったり、植えたりしています。そして、根っこの周りをコンクリートで固め、散った葉っぱはごみとして燃やしてしまいます・・・。
ごみの削減に取り組んでいる千葉市です。葉っぱはごみではありません。ましてや、千葉市は財政難で、少しでも無駄な出費を抑えなければならないときです。財政難に、わざわざお金をかけて、人間にとっても大切なものを、ごみとして燃やしてしまう・・・。これは悲しいことです。人間は、自分の事だけでなく、自分を生かしてくれている、植物や、動物に感謝して生きなければいけないのです。環境問題の根本として、そのことに気付くことから始めなければなりません。そして、子ども達の未来には、自分の命を育むもっとも大切なものとして、豊かな自然とその美しさに感動し感謝する心が必要なのだということを知ってもらいたいのです。
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